このブログがはてなから独自ドメインに移ってからというもの、あまり本気で更新することもなく大分時間が経ってしまった。これはまずいということでブログを書こうとはしていたが、書くよりも環境構築に目がいってしまうという私の悪い癖が発動してしまい、結局更新が滞ってしまった。
最近強く誘惑にかられていたのが、Wordpressで運営しているこのブログを静的なブログツールへ移行させるということ。最近は Jekyll という GitHub の中の人が開発した静的ウェブサイト作成ツールが流行しており、GitHub上にブログを建てるというユーザーが増えているためだ。
Jekyll などの静的ブログツールのメリットは、結局ユーザーがアクセスするブログは静的なページでPHPやMySQLを常にサーバー上に動かす必要が無い点だ。これはウェブサイトのホスティングサービス上で運営する場合に有利だし、高速化も期待できる。
Markdown で書かれたファイルとして記事データを管理できるのも利点のひとつだ。MySQLで記事データが管理されていると、いざデータを移動したり分析したりする際に mysqldump をするかXML形式で記事データをエクスポートするなどひと手間必要だ。それが最初からファイルとして記事データが管理されているとこうした手間が無くなる。
他にもウェブデザインもWordpress特有のテーマ設定などに悩まされることもないなど、様々な利点が静的ブログツールにはある。
しかしながら、色々試行錯誤した末に結局Wordpressを現状どおり使い続けることにした。理由は様々だけれども、最も強い理由はコメントやトラックバック機能が外部サービスに依存せざる終えないことと、SSHやGit環境がないところでブログを更新することができない点にあった。
ということで結局Jekyllをブログツールとして本格活用することはないものの、静的ブログツールの流行には依然として興味がある。
もともとMovable Type は静的ブログ生成方式を採用していたので、静的ブログツールの歴史はかなり古い。それがなぜ今になって再び脚光を浴びているのかといえば、それはやはり GitHub の存在にあるだろう。
Github にあるのはオープンソースソフトウェアプロジェクトだけではなく、雑誌記事の原稿や恋人募集の原稿などもある。面白いのはこうした自然言語で綴られたものもGitHubのプルリクエスト機能によって他人の手による翻訳や添削が寄せられることだ。GitHub はもはや単なるリポジトリホスティングサービスではなく、gitを使ったコラボレーションの場所として使われている。
静的ブログツールが再考されているのは、こうしたコラボレーションの場に乗っかることができるからだ。静的ブログツールは記事データそのものを単なるファイルとして管理できるので、記事データを git リポジトリの管理下における。それはブログ記事を他人が推敲してプルリクエストすることができるということだ。あるいは、ブログそのものを自分の好きに改造して自分のブログとして使うこともできる。記事データも含めて。
こうした GitHub上に生成されたブログは一般的なブログとは本質的な違いがある。それは一般的な小説とアラビアンナイトを比較するようなものだ。アラビアンナイトは様々なバージョンがあり、翻訳者によって物語自体が書き換えられる場合がある。
例えば経済学の権威が書く少々難解なブログがあれば、それをフォークしてキーワード解説を付与したブログを他人が公開するということが考えられる。経済学権威は読み手の知識について勘案する心配はなく、自由にその難解な文章を書いていられるし、あまり知識の無い読み手は有志が開設した開設付きブログを読めばいい。
こうした他者によるウェブサイトの翻案としては2ちゃんねるのまとめブログなどが思い浮かぶ。これと同じような状況がやがて個人ブログにも及ぶ日が来るのではないだろうか。
コラボレーションを前提においたブログのあり方にはメリットもあればデメリットもあるだろう。結局そうしたブログの様式が一部のGitHubユーザーだけに留まるのか、それともツールが発達して一般的なブロガーにも広まるのか私にはわからない。そしてそれがどういう影響をウェブにもたらすのかも。
あなたはどう思うだろうか。