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以前、「ウェブという比喩の普遍性」という記事を書いた。ハンナ・アーレント、イヴァン・イリイチ、星新一などがインターネット発明以前に提唱した様々な「ウェブ」概念をつらつらと紹介した記事である。その当時は、単にたまたま同じ表現を使っていたということを面白がって書いていたが、今になって考えるともっと深く追求できるトピックなのかもしれない。
というのも、『世界史』で有名な歴史家マクニールが”The Human Web”という著書を2005年に出版していたことを知ったからである。去年の11月に訳書が出版されて知ったのだが、この本では世界の歴史をマクニールが提唱する”The Human Web”の発展過程として描いているそうだ。未読なので彼がどうしてウェブという概念を導入することを試みたのかは分からないが、もしこの方向性で歴史を捉えることに何らかの意味があるのであれば、インターネット以前に「ウェブ」という表現を使用した人々の思想も秩序立てて整理することができるのではないか。
発展途上国の研究では社会ネットワーク分析の研究が注目されているという。社会ネットワーク分析は、まさしく社会を人々のウェブとし てみる研究のアプローチである。古今東西のウェブ思想をこうした現実的な社会問題に取り組む研究へのフィードバックもありうるのではないだろうか。
名前:常川真央
筑波大学図書館情報学メディア研究科で図書館情報学を学ぶ。2014年4月より専門図書館員としてとある研究所に勤務。RubyとJavaScript使い。短歌の鑑賞と作歌が趣味です。
業績 : http://researchmap.jp/kunimiya
連絡先: tkunimiya@gmail.com
Twitter: @kunimiya